11月に入って紅葉も進んできた。
乳がんの手術をしてから、ちょうど半年。
現在は経過観察中で、昨日は外来で傷の状態を診てもらい特に問題なしとのこと。
ガンになるわけないという思い込み
40代の会社員時代からほぼ毎年人間ドックを受けている。
気になるのは年々増える体重と中性脂肪やコレステロールの値ぐらいで、それ以外は特に健康上問題なく過ごしていた。
今回も多分そうだろうと思って気楽に受けた今年初めの人間ドック。
マンモグラフィ画像で「石灰化」があることを指摘された。
その検診センターでは検診当日にほとんどの結果がわかる。
担当医師に
「乳がんの疑いがあるため、できるだけ早く専門の病院を受診してください。」
と。
初めての要精検。
私は乳がん検診も毎年受けていて、去年まで何の問題もなし。
以前によく動くしこりのようなものがありエコー検査をしたけど、脂肪だった。
きっと今回もホルモンバランスや年齢的なもので、乳がんではないだろうと考えた。
触っても今はシコリも何もないし。
親族、親戚に乳がん・婦人科系がんはいない。
数日後に紹介状を持って大きい病院に行くことになった。
嫌だなあ、面倒だなあ。
帰りには何かおいしいスイーツでも買ってかえろう。
乳腺外科の外来。
主治医となるお医者さんは私のマンモグラフィの画像を見るなり
「うん、確かにガンの可能性が高いですね」
と即座に言った。
いやちょっと待ってよ。
検診センターの医師は乳腺専門じゃないからまだしも、乳腺外科の先生までかなりの確信を持っているかのような言い方じゃん。
詳しい検査するために、その日はMRIの予約をして帰宅した。
53歳の悔し涙
MRIの結果を聞くために、後日再度外来を受診。
待合の椅子で順番を待つ時点でもまだ私は
「MRIの結果、ガンではありませんでした。」
と言われるに決まっているさ、と思っていた。
そんな期待に反し、医師からは「この部分が乳ガンです」と冷酷な説明が始まった。
ガン確定宣言のため細胞を採取する。悪性度を調べるのだ。
穿刺(せんし)吸引細胞診。これはマジで痛かった。
いや本当に、これが一番痛かった。
今年になって乳がんが突然できたわけじゃあるまい。
去年も一昨年の乳癌検診で、何も疑わしいものはなかったのに。
ということは、昨年の検診でまさか見落とされていたのかも?
1年前の検診で指摘され病院を受診していれば、もっと早く治療を進められたのに。
1年でガンが進行したかもしれない。
父は大腸癌で亡くなっている。わかった時はすでに進行ガンで後に肝臓への転移も見つかった。
頭の中でいろんな思いが沸いてくる。
何のために毎年検診を受けてきたんだ?
細胞診の針の痛さと、悔しさから、涙が出た。
診察が終わってすぐに診察室からでなければならなかったが、待合にはまだたくさんの患者が待っている。
だけど、この涙顔で出られないぞ。
看護師さんに「ご家族の方は一緒ですか?」と聞かれた。
いや、一人で来てますって。
会計を終えて自分の車に戻るまで何とかこらえようと思ったけど、一度涙がでると、その後はどうにもとまらなかった。
子供でも乙女でもない、53歳だっていうのにさ。
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